夏の間、十割手打ち蕎麦とともにお出ししてきた「枝豆のまめつゆ」。今年は、9月22日をもって終了します。
新潟県上越市柿崎から届いた枝豆。
育ててくれた人、届けてくれた人、そして召し上がってくださった皆さまに、心からありがとうございます。
夏の終わりに、このまめつゆを蕎麦屋として作る理由と、その先に続く料理の話を少し。
■ 蕎麦と、豆を食べる
蕎麦を何につけて食べるか。
蕎麦屋にとって、つゆは大切な仕事です。高のでは、鰹・昆布・干し椎茸の出汁を土台に、合わせる素材を考えています。
枝豆のまめつゆは、枝豆の香りと甘みを、蕎麦と一緒に味わっていただくためのつゆです。
ひと口目には枝豆の香り。
噛むほどに、粗挽き十割蕎麦の味わい。
その間を、出汁がつなぎます。
蕎麦の香りを楽しむだけでなく、豆のおいしさも食べる。蕎麦とつゆを合わせて、一つの料理に仕立てたいと思っています。
■ 高のは「蕎麦を料理する」
高のの蕎麦は、粗挽きの蕎麦粉や韃靼蕎麦粉などを合わせて打つ十割手打ち蕎麦です。
どの粉を使うか。
どう合わせて、どう打つか。
そして、どう茹でて、何と食べていただくか。
粗挽きの蕎麦は、しっかり茹でることで生まれる、もちもちとした食感も魅力です。その蕎麦に、豆のやわらかな旨みを重ねる。
僕にとって蕎麦打ちは、料理の途中にあります。
打ち上げた蕎麦を、どんな一膳にするのか。そこまで考えるのが、高のの蕎麦料理です。
■ 枝豆のまめつゆを、夏で終える理由
枝豆には、若い豆ならではの青い香りとみずみずしさがあります。その味を、夏の楽しみとしてお届けしてきました。
枝豆は、若いうちに収穫した大豆です。
成熟した大豆になると、味わいは変わります。枝豆の季節を惜しみながら、今度は大豆の甘みやコクを楽しむ。
だから、枝豆のまめつゆの終了は、豆の料理の終わりではありません。
夏の枝豆から、次の大豆へ。
蕎麦に合わせる豆の味が、季節とともに移っていきます。
■ 一年を通して、呉汁のある蕎麦屋でいたい
水に浸した大豆をすりつぶしたものを「呉(ご)」と呼び、それを汁に仕立てた料理が「呉汁」です。
各地の家庭で受け継がれてきた、素朴で、滋味深い郷土料理。豆をすりつぶし、そのおいしさを余さずいただこうとする仕事に、僕は惹かれます。
高のでは2013年から、呉汁を蕎麦に合わせてきました。大豆の呉に黒練り胡麻を合わせ、出汁でのばす「護摩蕎麦」も、その歩みの中から生まれた料理です。
夏の枝豆のまめつゆも、その先につながっています。
千葉県神崎町の在来大豆をはじめ、各地で出会う大豆。それぞれの豆を知り、自分の出汁と合わせ、蕎麦の料理にしていきたい。
一年を通して、呉汁をメニューに置く蕎麦屋でいたいと思っています。
■ 蕎麦と大豆で、一膳の日本料理
蕎麦も、大豆も、日本の暮らしの中で食べ継がれてきた素材です。
その二つを、出汁でつなぐ。
派手なことではありませんが、素材を見つめ、手をかけ、一膳に整えることに、日本料理の仕事があると思っています。
高のが考える養生料理は、日々を生きる身体を思って作る食事です。
蕎麦を食べたい日に、豆のおいしさにも出会う。
お腹を満たしながら、少しほっとする。
そんな時間をお届けできたら嬉しいです。
■ 夏の味から、その先へ
今年の枝豆のまめつゆは、9月22日で一区切りです。
十割手打ち蕎麦と味わってくださった皆さま、ありがとうございました。
最終日の9月22日(火)は、火曜日限定の手打ち麺「小麦蕎麦」と合わせてお出しします。
蕎麦を打つ日も、小麦を打つ日も、豆と出汁を大切にする料理の思いは同じです。
夏の枝豆から、各地で出会う大豆へ。
これからも、蕎麦を料理していきます。
亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の
店主 高野定義









