投稿者: SOBA TAKANO亀戸養生料理高の

  • ポッドキャストなのに、無言です。|蕎麦職人が始める「無言Podcast」「職人Podcast」

    ポッドキャストなのに、無言です。|蕎麦職人が始める「無言Podcast」「職人Podcast」

    YouTube「SOBA RESTAURANT TAKANO」をいつも見てくださって、ありがとうございます。

    毎朝の蕎麦打ちLIVEを見て、ここまで読みに来てくださった皆さん、本当にありがとうございます。

    今日は、新しく始める

    「無言Podcast」
「職人Podcast」

    について書きます。

    毎朝、蕎麦を打つ。

    僕は東京・亀戸の小さな蕎麦屋で、毎朝、十割蕎麦を打っています。

    その様子をYouTubeでLIVE配信しています。

    水回しをして、こねて、延して、切って、茹でる。

    毎朝ほとんど同じ仕事です。

    でも続けているうちに、ふと思いました。

    これは、いつまで「蕎麦打ち動画」なんだろう。

    「蕎麦打ち動画」という世界の中だけにいると、

    上手い、下手。
    速い、遅い。
    正しい、間違っている。

    そんな小さな比較になってしまうような気がしていました。

    僕が毎朝やっていることは、もっと単純です。

    料理人が、毎朝仕事をしている。

    だったら、その仕事そのものを番組にしてしまえばいい。

    そう考えました。

    「職人Podcast」

    Podcastというと、人がマイクの前で話しているものを想像します。

    でも、職人には仕事の音があります。

    粉と水を合わせる音。
    生地をこねる音。
    麺棒の音。
    包丁の音。
    鍋から上がる音。

    それも、その人の言葉なんじゃないか。

    陶芸家でもいい。
    大工でもいい。
    酒蔵でもいい。
    料理人でもいい。

    職人が実際に仕事をしながら、その時間を届ける。

    僕はそんなものを、

    「職人Podcast」

    と呼んでみることにしました。

    そして僕が始めるのが、

    「無言Podcast」

    です。

    ポッドキャストなのに、無言です。

    基本的には、いつも通り黙って蕎麦を打ちます。

    特別な演出もしません。

    毎朝、本当にやっている仕事を、そのまま届けます。

    ただし、一つだけルールを作りました。

    一日一問だけ、答えます。

    毎朝、蕎麦を打ちながら、一つだけ質問に答えます。

    蕎麦のこと。
    料理のこと。
    粗挽き十割蕎麦のこと。
    油結びのこと。
    大豆や呉汁のこと。
    店のこと。
    フランスのこと。
    失敗したこと。
    料理人として生きること。

    何でも構いません。

    皆さんからも質問を募集します。

    いただいた質問の中から一つ選び、

    一日一問だけ、自分の言葉で答える。

    答え終わったら、また黙って蕎麦を打ちます。

    僕は、蕎麦屋なのに蕎麦が打てなかった。

    僕は最初から蕎麦打ちが得意だったわけではありません。

    むしろ僕の出発点は、

    「蕎麦屋なのに、蕎麦が打てなかった。」

    でした。

    だから、完成された職人の技術だけを見せたいとは思っていません。

    失敗する。
    考える。
    また打つ。
    違う方法を試す。

    ずっとその繰り返しです。

    そして、その延長線上にフランスがあります。

    フランス4年連続・蕎麦打ち講師

    2023年から4年連続でフランスを訪れ、蕎麦打ちの実演やワークショップ、現地料理人との活動を続けています。

    2023年
    マルセイユのSakura Bentoで蕎麦打ちワークショップ。Japan Expo Sudでも蕎麦打ちを披露しました。

    2024年
    マルセイユのRobatoで、フランスの蕎麦粉を使った十割蕎麦の講習。

    日本とは違う粉、水、環境。

    思うように水が入らない。
    ダマになる。

    日本で覚えた方法が、そのまま通用するわけではありませんでした。

    2025年
    Japan Expo Sudで十割蕎麦を実演。Sakura Bentoでのワークショップなど、活動を続けました。

    そしてこの年、僕が試してきた新しい十割蕎麦の打ち方、

    「油結び」

    もフランスで披露しました。

    2026年
    活動はマルセイユからディジョンへ。

    Koishi、Modern Sushi、Salt & Pepperなど、現地の料理人との交流を通して、蕎麦だけではなく「料理としての麺」を考える機会が増えていきました。

    僕がやりたいのは、日本で完成させた蕎麦を、そのまま海外へ持って行くことだけではありません。

    フランスの粉。
フランスの水。
フランスの空気。

    そこで十割蕎麦を打つ。

    その土地で、その土地の蕎麦を料理する。

    僕はそれを「地蕎麦」のように考えています。

    油結び

    フランスでの経験も含め、十割蕎麦をもっと自由に打てないかと試してきた中から生まれたのが、

    「油結び」

    です。

    小麦粉をつなぎに使わず、
    湯ごねだけにも頼らず、
    油を取り入れた乳化液で蕎麦粉をつないでいく。

    僕は現在、大豆油を使っています。

    油の味を蕎麦につけることが目的ではありません。

    僕が目指しているのは、

    十割蕎麦を、もっと自由に料理できるようにすること。

    粗挽きでもいい。
    細かな粉でもいい。
    韃靼蕎麦を混ぜてもいい。

    自分の好きな粉を選び、
    自分でブレンドし、
    自分の蕎麦を打つ。

    僕は、粗挽き蕎麦と油結びは、お互いを補い合えると考えています。

    だから僕は、

    「初心者こそ粗挽きから。」

    と言っています。

    難しいと思われている。

    だからこそ、まだ可能性がある。

    手打ちの蕎麦屋が少なくなっていく今、

    「自分にもできるかもしれない」

    と思う人を増やしたい。

    油結びは、そのための一つの提案です。

    中身を変えるのではなく、入口を変える。

    今回の「無言Podcast」も同じです。

    僕は蕎麦打ちをやめません。

    毎朝やることも変わりません。

    毎朝、十割蕎麦を打つ。

    変えるのは、中身ではなく入口です。

    「蕎麦打ち動画」という名前から少し外へ出てみる。

    すると、今までとは違う人が、

    「無言なのにPodcastって何だ?」

    と覗いてくれるかもしれない。

    そこで初めて、

    十割蕎麦を知る。
    油結びを知る。
    日本料理を知る。
    僕がフランスでやっていることを知る。

    それでいいと思っています。

    2027年、フランスへ。

    そして、この「一日一問」には、もう一つ目的があります。

    毎朝、一つの質問に、自分の言葉で答える。

    台本ではありません。

    上手に喋れなくてもいい。

    毎日一つだけ考えて、話す。

    それを続けていけば、僕自身の「話す力」も変わっていくはずです。

    2027年、フランスで人前に立ったとき。

    蕎麦を打つ技術だけではなく、

    なぜ料理人になったのか。
    なぜ蕎麦なのか。
    なぜ失敗を見せるのか。
    なぜ油結びを考えたのか。
    なぜフランスまで蕎麦を打ちに行くのか。

    それを、借り物ではない自分の言葉で話したい。

    だから、

    無言Podcastは、僕自身の毎朝の稽古でもあります。

    毎朝、蕎麦を打つ。

    そして、

    一日一問だけ答える。

    皆さん、僕に聞いてみたいことがあったら、ぜひ質問してください。

    蕎麦でもいい。
    油結びでもいい。
    料理でもいい。
    フランスでもいい。
    人生でもいい。

    質問、お待ちしています。

    そして、これからも毎朝のYouTubeを見ていただけたら嬉しいです。

    いつも見てくださって、本当にありがとうございます。

    SILENT PODCAST|SOBA EVERY MORNING

    SOBA RESTAURANT TAKANO
    RESTAURARE|Nourish & Restore
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    亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の

  • 夏の終わり、枝豆のまめつゆ蕎麦|亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の

    夏の終わり、枝豆のまめつゆ蕎麦|亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の

    夏の間、十割手打ち蕎麦とともにお出ししてきた「枝豆のまめつゆ」。今年は、9月22日をもって終了します。

    新潟県上越市柿崎から届いた枝豆。
    育ててくれた人、届けてくれた人、そして召し上がってくださった皆さまに、心からありがとうございます。

    夏の終わりに、このまめつゆを蕎麦屋として作る理由と、その先に続く料理の話を少し。

    ■ 蕎麦と、豆を食べる

    蕎麦を何につけて食べるか。

    蕎麦屋にとって、つゆは大切な仕事です。高のでは、鰹・昆布・干し椎茸の出汁を土台に、合わせる素材を考えています。

    枝豆のまめつゆは、枝豆の香りと甘みを、蕎麦と一緒に味わっていただくためのつゆです。

    ひと口目には枝豆の香り。
    噛むほどに、粗挽き十割蕎麦の味わい。
    その間を、出汁がつなぎます。

    蕎麦の香りを楽しむだけでなく、豆のおいしさも食べる。蕎麦とつゆを合わせて、一つの料理に仕立てたいと思っています。

    ■ 高のは「蕎麦を料理する」

    高のの蕎麦は、粗挽きの蕎麦粉や韃靼蕎麦粉などを合わせて打つ十割手打ち蕎麦です。

    どの粉を使うか。
    どう合わせて、どう打つか。
    そして、どう茹でて、何と食べていただくか。

    粗挽きの蕎麦は、しっかり茹でることで生まれる、もちもちとした食感も魅力です。その蕎麦に、豆のやわらかな旨みを重ねる。

    僕にとって蕎麦打ちは、料理の途中にあります。

    打ち上げた蕎麦を、どんな一膳にするのか。そこまで考えるのが、高のの蕎麦料理です。

    ■ 枝豆のまめつゆを、夏で終える理由

    枝豆には、若い豆ならではの青い香りとみずみずしさがあります。その味を、夏の楽しみとしてお届けしてきました。

    枝豆は、若いうちに収穫した大豆です。

    成熟した大豆になると、味わいは変わります。枝豆の季節を惜しみながら、今度は大豆の甘みやコクを楽しむ。

    だから、枝豆のまめつゆの終了は、豆の料理の終わりではありません。

    夏の枝豆から、次の大豆へ。
    蕎麦に合わせる豆の味が、季節とともに移っていきます。

    ■ 一年を通して、呉汁のある蕎麦屋でいたい

    水に浸した大豆をすりつぶしたものを「呉(ご)」と呼び、それを汁に仕立てた料理が「呉汁」です。

    各地の家庭で受け継がれてきた、素朴で、滋味深い郷土料理。豆をすりつぶし、そのおいしさを余さずいただこうとする仕事に、僕は惹かれます。

    高のでは2013年から、呉汁を蕎麦に合わせてきました。大豆の呉に黒練り胡麻を合わせ、出汁でのばす「護摩蕎麦」も、その歩みの中から生まれた料理です。

    夏の枝豆のまめつゆも、その先につながっています。

    千葉県神崎町の在来大豆をはじめ、各地で出会う大豆。それぞれの豆を知り、自分の出汁と合わせ、蕎麦の料理にしていきたい。

    一年を通して、呉汁をメニューに置く蕎麦屋でいたいと思っています。

    ■ 蕎麦と大豆で、一膳の日本料理

    蕎麦も、大豆も、日本の暮らしの中で食べ継がれてきた素材です。

    その二つを、出汁でつなぐ。

    派手なことではありませんが、素材を見つめ、手をかけ、一膳に整えることに、日本料理の仕事があると思っています。

    高のが考える養生料理は、日々を生きる身体を思って作る食事です。

    蕎麦を食べたい日に、豆のおいしさにも出会う。
    お腹を満たしながら、少しほっとする。

    そんな時間をお届けできたら嬉しいです。

    ■ 夏の味から、その先へ

    今年の枝豆のまめつゆは、9月22日で一区切りです。

    十割手打ち蕎麦と味わってくださった皆さま、ありがとうございました。

    最終日の9月22日(火)は、火曜日限定の手打ち麺「小麦蕎麦」と合わせてお出しします。

    蕎麦を打つ日も、小麦を打つ日も、豆と出汁を大切にする料理の思いは同じです。

    夏の枝豆から、各地で出会う大豆へ。
    これからも、蕎麦を料理していきます。

    亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の
    店主 高野定義

  • 夏の終わり、枝豆のまめつゆから大豆の呉汁へ|亀戸手打ちラーメンつけ麺高の

    夏の終わり、枝豆のまめつゆから大豆の呉汁へ|亀戸手打ちラーメンつけ麺高の

    今年の「枝豆のまめつゆ」は、9月22日(火)で最終日を迎えます。

    火曜日だけ、小麦を打つ蕎麦屋。
    亀戸手打ちラーメンつけ麺高のです。

    この夏、手打ちの「小麦蕎麦」とともに楽しんでいただいた枝豆のまめつゆ。新潟県上越市柿崎から届く枝豆で、夏の香りをお届けしてきました。

    食べてくださった皆さま、枝豆を育て、届けてくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。

    ■ なぜ、枝豆のまめつゆを終えるのか

    枝豆のまめつゆは、夏の味として作っているからです。

    枝豆は、大豆を若いうちに収穫したもの。同じ豆でも、枝豆には青々とした香りがあり、成熟した大豆には、また違った甘みと深い旨みがあります。

    夏が終われば、次の季節の豆のおいしさへ。

    9月22日は、豆のつゆが終わる日ではなく、夏の枝豆から大豆へとつながっていく節目です。

    ■ 一年を通して、呉汁をメニューに置く店でいたい

    水に浸した大豆をすりつぶしたものを「呉(ご)」と呼び、それを汁に仕立てた郷土料理が「呉汁」です。

    昔から各地の暮らしの中で受け継がれてきた、大豆を丸ごと味わう料理。高のでは、この呉汁を蕎麦や小麦蕎麦につながる料理として大切にしています。

    夏には枝豆。
    その先には、各地で出会った大豆。

    産地や品種、育てる人によって違う豆の味を、自分の出汁で料理する。千葉県神崎町の在来大豆との出会いも、その楽しみを教えてくれました。

    一年を通して、各地で出会った大豆の呉汁をメニューに置く店でいたい。

    枝豆のまめつゆの後にも、そんな高のの豆の料理が続いていきます。

    ■ なぜ蕎麦屋が、小麦の麺を打つのか

    和風出汁で、ラーメンを食べたい。
    僕の出汁に合う麺を、自分で打ちたい。

    それが「小麦蕎麦」を始めた理由です。

    国産小麦をブレンドし、加水率は55%。もちもちとした食感と、つるりとした喉ごしを目指して、手で打っています。

    鰹・昆布・干し椎茸の出汁を生かした温かいつゆ。そして、豆そのものの味を楽しむ冷たいまめつゆ。

    同じ麺でも、合わせるつゆによって表情が変わります。

    蕎麦を打つ日も、小麦を打つ火曜日も、僕の中では同じ料理の仕事です。素材を見て、出汁を考え、その出汁に合う麺を作る。蕎麦屋の好奇心から生まれた手打ちつけ麺です。

    ■ 高のが考える「一膳の日本料理」

    麺だけではなく、つゆも、その中の大豆も含めて、一膳の料理として楽しんでいただきたい。

    小麦の香り。
    大豆の甘み。
    出汁の旨み。

    それぞれを生かし、食べ終わった時に、気持ちまで満たされる食事を目指しています。

    僕にとって養生料理とは、日々を生きる身体を思い、素材をどう料理するかを考えることです。

    特別な日のごちそうだけでなく、今日の自分をいたわる食事として、日本料理を届けたい。その思いを、小麦蕎麦と呉汁にも込めています。

    ■ 9月22日、今年最後の枝豆のまめつゆを

    夏の終わりを、一膳の料理で。

    今年の枝豆のまめつゆを、手打ちの小麦蕎麦とともにお楽しみください。

    そして、これから出会う大豆の味も、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

    亀戸手打ちラーメンつけ麺高の
    火曜日限定「小麦蕎麦」
    営業時間:9:00〜13:00
    限定20食

    枝豆のまめつゆ:2026年9月22日(火)最終日

    亀戸養生料理鍋蕎麦屋高の
    店主 高野定義

  • 夫婦ふたり、団地の蕎麦屋ミシュランまでの道― フランス活動記 ―14 油結びエキスポで世界にお披露目

    夫婦ふたり、団地の蕎麦屋ミシュランまでの道― フランス活動記 ―14 油結びエキスポで世界にお披露目

    2025年2月22日。

    フランス・マルセイユで開催されたJapan Expo Sudで、フランス産蕎麦粉を使った十割蕎麦打ちを披露しました。

    France Japon ConnexionとSakura Bentoの皆さんが用意してくださった舞台です。

    今回の蕎麦打ちには、油を使いました。

    今、私が「油結び」と呼んでいる方法です。

    2024年に残った宿題

    2024年、マルセイユのROBATOで、フランス産蕎麦粉による十割蕎麦打ちに挑戦しました。

    この時は「湯こね」です。

    しかし、日本の蕎麦粉とは性質が違い、水が思うように入っていきません。生地には塊ができ、均一につなぐことの難しさを感じました。

    フランスの蕎麦粉を、日本の蕎麦粉のように扱おうとしてはいけない。

    素材を自分の技術に合わせるのではなく、自分の技術を素材に合わせなければならない。

    2024年の経験は成功だけではありません。

    大きな宿題を日本へ持ち帰った一年でした。

    熱に頼らず、十割を打ちたい

    日本に戻ってからも、考え続けました。

    小麦粉を加えず、蕎麦粉だけで打つ。

    できるだけ熱にも頼らず、冷たい水で生地を結びたい。

    そして、フランス産蕎麦粉が持っている香りや力を、そのまま一杯の蕎麦にしたい。

    時間と失敗の連続でした。

    水の量、入れ方、混ぜ方、粉の粗さ。

    試して、失敗して、もう一度考える。

    その中でたどり着いたのが、水と油を十分に撹拌した液体を、水回しに用いる方法です。

    油を加えて味をごまかすためではありません。

    粉を無理に変えるためでもありません。

    フランス産蕎麦粉の個性を削らず、蕎麦粉100%の生地として結ぶための工夫です。

    素材を活かす。削らない。十割で打つ。

    それが、私の目指した蕎麦でした。

    2025年、Japan Expo Sudで披露

    2025年2月22日、Japan Expo Sudの会場で、油を用いた十割蕎麦打ちを披露しました。

    フランス産蕎麦粉に水と油を合わせ、粉の状態を見ながら丁寧に水を回していく。

    粉が少しずつ変化し、一つの生地になっていく。

    フランスの蕎麦粉が、私の手の中で思い通りの十割蕎麦になった瞬間でした。

    2023年から三年続けて、この会場で十割蕎麦を打たせていただきました。

    一度だけの挑戦ではありません。

    毎年、同じ場所へ戻り、前年の経験を次の技術へつなげる。

    2024年に残った宿題に、2025年の実演で一つの答えを出すことができました。

    技術が先にあり、名前は後から生まれた

    この実演をした時、まだ「油結び」という名前を前面には出していませんでした。

    先にあったのは、目の前の粉を何とか生かしたいという思いと、実際の蕎麦打ちです。

    名前は後から生まれました。

    油結びとは、

    「油と水を十分に撹拌した液体を蕎麦打ちの水回しに用い、蕎麦粉100%の生地を結ぶ方法」

    です。

    公開情報を調べた範囲では、同じ名称と方法で十割蕎麦を打つ別の実践者は確認できませんでした。

    ただし、大切なのは「誰が最初か」を争うことではありません。

    技術を生み、記録として残し、次の人へ伝えることです。

    フランスのシェフへ、新しい素材を

    私が目指しているのは、日本の蕎麦をそのままフランスへ持ち込むことだけではありません。

    フランス産蕎麦粉を、フランスの料理人が使える新しい素材として届けたい。

    蕎麦は、つゆだけで食べるものではありません。

    フランス料理のソースにも、野菜にも、肉や魚にも合わせられる可能性があります。

    蕎麦は僕が打つ。

    その先の料理は、フランスの料理人へ。

    パン屋さん、レストランのシェフ、料理学校で学ぶ若い人たち。

    それぞれの感性で、フランス産蕎麦粉の新しい料理を生み出してほしいと思っています。

    レストランの原点

    「レストラン」という言葉は、フランス語の「restaurer(回復させる・元気を取り戻させる)」につながる言葉です。

    人の身体と心を、料理によって回復させる場所。

    それは、私が亀戸で掲げている「養生料理」と重なります。

    料理は、華やかさだけではありません。

    食べた人が元気になり、明日を生きる力を取り戻す。

    そこに、レストランの原点があると私は考えています。

    フランスの蕎麦粉に、新しい姿を。

    フランスの料理人に、新しい素材を。

    そして未来の料理人へ、レストランの原点を。

    9月22日、もう一度

    2026年9月22日、フランス産蕎麦粉を使った油結びによる十割蕎麦打ちを、Instagramライブで実演します。

    日本時間は朝7時、フランス時間は午前0時です。

    約30分、編集なし。

    水回しから、まとめ、延し、切り、茹で上げまでお見せします。

    今回打った蕎麦は、日頃のお客様への感謝を込めて「ひとくちプレゼント」としてお出しする予定です。

    2024年に生まれた疑問。

    2025年、フランスで披露した技術。

    そして、これから未来の料理人へ残していく油結び。

    日本料理人として、技術を生み、残し、伝える。

    世界と日本をつなぐ料理人として、これからも蕎麦を打ち続けます。

    この場所をつくってくださったジュリアさん、France Japon Connexion、Sakura Bentoの皆さん、そしてフランスで出会ったすべての方々に、心より感謝申し上げます。

    次回へ続きます。

    レストランの原点——養生料理 SOBA TAKANO。

    Aux origines du restaurant — YŌJŌ RYŌRI, SOBA TAKANO.

  • 和風黒ごま担々麺|鍋蕎麦屋 高の【東京・亀戸】

    和風黒ごま担々麺|鍋蕎麦屋 高の【東京・亀戸】

    高のの名代「護摩蕎麦」を、初めての方にも分かる言葉で説明すると、

    和風黒ごま担々麺です。

    黒胡麻の濃厚な汁に麺が入り、熱々の鉄鍋で楽しむ。
    写真を見れば、そのひと言で料理の姿が伝わると思います。

    ただし、麺はラーメンではありません。
    油結びで打つ、粗挽きの十割手打ち蕎麦です。

    日本料理の出汁でつくる黒ごま担々麺

    高のの和風黒ごま担々麺は、一般的な担々麺をそのまま蕎麦に替えたものではありません。

    大豆をすりつぶした「呉」と黒練り胡麻を、鰹節、昆布、干し椎茸から引いた出汁でのばし、醤油で味を整えます。

    黒胡麻のコク。
    大豆のまろやかさ。
    蕎麦屋の出汁の香り。

    辛さや油の強さだけに頼らず、日本料理の出汁を土台に仕立てた黒ごま担々麺です。

    麺は油結びの粗挽き十割蕎麦

    麺には、小麦粉をつなぎとして使いません。

    高の独自の蕎麦打ち「油結び」で、粗挽き、挽きぐるみ、韃靼蕎麦などの蕎麦粉を自由にブレンドします。

    水と大豆油をドレッシングのように乳化させ、蕎麦粉全体へ回すことで、グルテンに頼らず十割蕎麦を打ちます。

    細いのに黒い。
    もちっとして、すすれる。
    蕎麦の香りをしっかり味わえる。

    和風黒ごま担々麺のために、高のが毎朝打つ十割蕎麦です。

    プロテイン・ブラックセサミン・ルチン

    この一杯には、昔から日本人が食べてきた大豆、黒胡麻、蕎麦が入っています。

    大豆のプロテイン。
    黒胡麻のセサミン。
    韃靼蕎麦のルチン。

    言葉にすれば、

    PROTEIN・BLACK SESAMIN・RUTIN

    新しい栄養食品をつくったのではありません。

    昔から日本人の心と身体を支えてきた食材を、現代の食事として一つの鉄鍋に仕立てました。

    熊・鹿・猪などのジビエと楽しむ

    高のの和風黒ごま担々麺は、熊、鹿、猪などのジビエと合わせて楽しめます。

    力強いジビエの味を、黒胡麻と大豆のまろやかな出汁が包み、最後に十割蕎麦の香りが残ります。

    東京・亀戸で、ジビエと打ちたて十割蕎麦を一緒に楽しめる、高のならではの鍋蕎麦です。

    ジビエを使わない仕立てもできます。
    大豆と黒胡麻の濃厚な汁だけでも、満足できる一杯です。

    大切な出汁を最後まで食べる

    蕎麦を食べ終えた後は、鉄鍋に残った出汁へ玄米と卵を入れ、締めの粥にします。

    蕎麦だけを食べて終わるのではありません。

    大豆も、黒胡麻も、鰹節、昆布、干し椎茸から引いた出汁も、最後の一滴まで一つの料理として食べる。

    ここまでが、高のの和風黒ごま担々麺です。

    蕎麦粉を料理する蕎麦料理レストラン

    高のが考える「蕎麦料理」とは、蕎麦と一品料理を並べることではありません。

    蕎麦粉そのものを料理することです。

    蕎麦粉を選び、自由にブレンドする。
    油結びで十割蕎麦にする。
    大豆、黒胡麻、出汁、玄米、ジビエと組み合わせ、一つの食事に仕立てる。

    料理とは、素材のおいしさを引き出し、その力を身体へ生かすようにつくること。

    この考えを言葉だけで終わらせないため、高のは、健康な食事・食環境の認証制度「スマートミール二つ星」を取得しました。

    入口は簡単に、中身は深く

    護摩蕎麦。
    呉汁。
    油結び。
    粗挽き十割蕎麦。

    これまで私たちは、自分たちの料理を難しい言葉で説明しすぎていたのかもしれません。

    料理人の仕事は複雑でも、お客様への入口は簡単でいい。

    亀戸で食べる、和風黒ごま担々麺。
麺は、毎朝打つ粗挽き十割蕎麦。
熊・鹿・猪などのジビエと一緒に楽しめます。

    まずは、おいしそうだと思って来てください。

    食べた後に、この一杯が大豆、黒胡麻、蕎麦、出汁、玄米を結んだ現代の日本料理だったと知っていただければ嬉しく思います。

    入口は、和風黒ごま担々麺。
中身は、蕎麦粉を料理する日本料理。

    東京・亀戸、鍋蕎麦屋 高のでお待ちしております。

    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の
    代表 高野定義

  • 蕎麦を料理する。蕎麦を料理と考える。

    蕎麦を料理する。蕎麦を料理と考える。

    蕎麦料理レストラン 高の

    料理とは何だろう。

    長年、蕎麦を打ち、出汁を引き、お客様の身体と向き合うなかで、私は一つの考えにたどり着きました。

    料理とは、素材のおいしさを引き出し、その力を身体へ生かすようにつくること。

    これは、私が考える日本料理の哲学です。

    調理と料理は違う

    素材を切る。
    茹でる。焼く。揚げる。味をつける。

    それが「調理」だとすれば、「料理」は、その先にあるものだと思います。

    なぜ、この素材を使うのか。
    なぜ、この組み合わせなのか。
    食べた人の身体に、何を届けたいのか。

    素材の持つ理を考え、組み合わせ、一つの食事として仕立てる。

    私は「料理」という言葉を、素材の理を料ることだと受け止めています。

    だから高のでは、蕎麦をただ打つだけではありません。

    蕎麦を料理する。
蕎麦を料理として考える。

    これが、亀戸で十四年間、蕎麦と向き合ってきた私の答えです。

    グルテンに頼らない「油結び」

    高のの十割蕎麦は、小麦粉やグルテンに頼りません。

    水と大豆油を乳化させ、蕎麦粉を結ぶ独自の手法「油結び」で打ちます。

    つなぐためだけの蕎麦打ちではありません。
    食べたい蕎麦を、自分で設計するための蕎麦打ちです。

    香りの強い粗挽き。
    蕎麦の実を丸ごと挽く挽きぐるみ。
    力強い苦味を持つ韃靼蕎麦。

    それぞれの個性を自由に組み合わせ、自分だけのオリジナルブレンドをつくる。

    細くても黒い蕎麦。
    しっかり茹でても切れにくい蕎麦。
    もちっとして、すすれる粗挽き十割蕎麦。

    昔からの技術を大切にしながら、現代の料理として蕎麦を自由にする。
    それが高のの「油結び」です。

    プロテイン・ブラックセサミン・ルチン

    高のの代表料理「護摩蕎麦」は、大豆のすり身である呉と、黒練り胡麻を合わせた温かい蕎麦料理です。

    大豆のたんぱく質。
    黒胡麻に含まれるセサミン。
    韃靼蕎麦に含まれるルチン。

    言葉にすれば、

    PROTEIN・BLACK SESAMIN・RUTIN

    昔から日本人が食べてきた大豆、胡麻、蕎麦を、一つの鉄鍋に仕立てました。

    新しい栄養食品をつくったのではありません。
    昔から日本人の心と身体を支えてきた素材を、現代の食生活に合う一杯の料理として組み直したのです。

    高のの蕎麦は、いわば食べるルチン料理です。

    高のの出汁を、最後の一滴まで食べる

    高のの出汁は、鰹節、昆布、干し椎茸から引きます。
    化学調味料には頼りません。

    この大切な出汁を、蕎麦を食べ終えたところで残してしまわない。

    護摩蕎麦の締めには、玄米と卵を入れた薬膳粥をご用意しています。
    また、玄米とろろ飯と合わせることで、出汁も大豆も黒胡麻も、最後まで一つの食事として味わえます。

    蕎麦だけを食べて終わるのではなく、出汁まで食べ切る。

    おいしさとともに、素材の持つものを身体へ届ける。
    そこまで考えて、初めて高のの蕎麦料理は完成します。

    スマートミールを取得した理由

    高のは、自分たちの料理の考え方を言葉だけで終わらせないため、健康な食事・食環境を認証する「スマートミール」を取得しました。

    おいしいこと。
    満足できること。
    そして、食べる人の身体を考えていること。

    蕎麦屋だから健康なのではありません。
    何を選び、どう組み合わせ、どのような一食に仕立てるか。

    その積み重ねが、身体を考えた料理になると思っています。

    昔の蕎麦から、現代の日本料理へ

    蕎麦は、昔から日本人の暮らしのそばにありました。

    特別な健康食品ではなく、日々の食事として、人の心と身体を支えてきたものです。

    だからこそ、昔の形を守るだけでなく、今を生きる人のために料理したい。

    大豆、黒胡麻、韃靼蕎麦、粗挽き蕎麦、挽きぐるみ、玄米、とろろ、鰹節、昆布、干し椎茸。

    一つ一つの素材には、それぞれ役目があります。
    その役目を考え、出汁で結び、一つの食事にする。

    蕎麦を料理する。
蕎麦を料理と考える。

    高のがつくっているのは、昔の日本食の形を借りた健康料理ではありません。

    日本料理の考え方を受け継ぎながら、今の人の身体と暮らしに合わせた、現代の日本料理です。

    決まった正解に従うだけではなく、蕎麦粉を自由に選び、自由に組み合わせ、自分の身体と好みに合った蕎麦をつくる。

    どうぞ高ので、あなた自身の蕎麦料理をお楽しみください。

    蕎麦料理とは、蕎麦と料理を並べることではありません。蕎麦粉そのものを料理することです。

    粗挽き、挽きぐるみ、韃靼蕎麦を自由にブレンドし、油結びで十割蕎麦にする。さらに、大豆、黒胡麻、出汁、玄米などを組み合わせ、蕎麦粉の持つ味と力を一つの食事として身体へ生かす。

    高のは、蕎麦と料理のある蕎麦屋ではなく、**蕎麦粉を料理する「蕎麦料理レストラン」**です。

    蕎麦料理レストラン 高の
    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の
    代表 高野定義

  • 東京のヘルシーレストラン|亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の

    東京のヘルシーレストラン|亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の

    東京で、健康的な食事ができるレストランを探している方へ。

    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高のは、十割蕎麦、大豆、黒胡麻、韃靼蕎麦、野菜、鶏、鴨、鹿、鯨などを、日本料理の出汁で一つに結ぶ店です。

    私たちが考える「ヘルシー」とは、ただ量を減らすことではありません。

    必要な栄養をしっかり食べ、満足して、身体を養うこと。

    だから高のの料理は、ヘルシーでありながら力強い。いわば「奇跡のヘルシー・プロテイン料理」です。

    大学への提出資料に基づく栄養成分

    大学への提出資料として作成した成分表では、護摩出汁、十割蕎麦、とろろご飯、主菜を組み合わせた一膳を分析しています。

    主菜を鴨にした一膳は、588kcal、たんぱく質29.3g、脂質16.1g、炭水化物81.7g、食塩相当量2.1g、野菜154g、食物繊維8.8g。

    鹿の一膳は、591kcal、たんぱく質29.4g、脂質16.4g、炭水化物81.8g、食塩相当量2.1g、野菜154g。

    鯨の一膳は、575kcal、たんぱく質28.0g、脂質15.3g、炭水化物81.7g、食塩相当量2.1g、野菜154gです。

    数字で確認しても、しっかり食べられて、たんぱく質と野菜を一緒に摂れる一膳になっています。

    高のは2022年、外食部門のスマートミール二つ星認証を受けました。

    たんぱく質46.6g「鶏もも丸丸素揚げ」

    高ののもう一つの名物が、鶏もも肉を一本丸ごと揚げる「鶏もも丸丸素揚げ」です。

    BMLフード・サイエンスによる分析では、1食約200gで436kcal、たんぱく質46.6g、脂質26.6g、炭水化物2.6g、食塩相当量2.0g。

    高たんぱく質でありながら、炭水化物は2.6gです。

    衣に頼らず、鶏もも肉のうま味を丸ごと味わう。運動後の食事や、たんぱく質を意識する方にも知っていただきたい、日本料理のプロテイン料理です。

    この料理は、からあげグランプリ「素揚げ・半身揚げ部門」で2018年と2020年に金賞を受賞しました。

    大豆・黒胡麻・十割蕎麦を一つの鉄鍋に

    高のを代表する「名代護摩蕎麦」は、大豆のすり身である「呉」と黒練り胡麻を、鰹節・昆布・干し椎茸の出汁でのばし、店内で打つ十割蕎麦を合わせた鉄鍋料理です。

    大豆の植物性たんぱく質、黒胡麻、韃靼蕎麦を、一つの椀で味わいます。

    蕎麦を食べ終えた後は、残った呉汁に玄米と卵を加え、玄米卵とじ粥で締める。主食、主菜、副菜、そして出汁まで、すべてを一膳の物語として組み立てています。

    ヘルシーとは、我慢ではなく満足

    「健康のためだから、味や満足を諦める」

    私たちは、そうは考えていません。

    十割蕎麦を食べ、大豆と黒胡麻を味わい、野菜を摂り、鶏やジビエ、鯨からたんぱく質をいただく。最後は出汁まで残さず、玄米粥として楽しむ。

    健康の数字と、料理人が作るおいしさ。その両方がそろって、初めて養生料理になります。

    東京でヘルシーレストランを探している方。

    亀戸で高たんぱく質な食事、十割蕎麦、ジビエ料理、身体を養う日本料理を食べたい方。

    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高ので、「しっかり食べるヘルシー」をお楽しみください。

    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の
    東京都江東区亀戸
    十割蕎麦・護摩蕎麦・鍋蕎麦・ジビエ料理・鯨料理・鶏もも丸丸素揚げ

    Healthy Japanese restaurant in Kameido, Tokyo.
    Juwari soba, soybeans, black sesame and high-protein Japanese dishes.

  • 夫婦ふたり、団地の蕎麦屋ミシュランまでの道― フランス活動記 ―13

    夫婦ふたり、団地の蕎麦屋ミシュランまでの道― フランス活動記 ―13

    2024年、ROBATOでフランスの蕎麦粉を打つ

    まず、フランスの皆様に心から感謝いたします。

    2024年、マルセイユのROBATOで、フランスの蕎麦粉を使い、湯ごねによる十割蕎麦のワークショップを二回行いました。

    最初にお伝えします。

    これは、日本の伝統的な蕎麦打ちそのものではありません。申し訳ありません。

    それでもフランスの皆様は、私が想像していた以上に、蕎麦と蕎麦打ちに強い興味を持ってくださいました。

    フランスには、バゲットの文化があります。

    粉と水を合わせ、人の手で作る。
    そこには、粉を知り、水を知り、その土地の味を作る文化があります。

    蕎麦も同じです。

    土地によって水が違えば、出来上がる蕎麦も変わります。フランスの蕎麦粉と、フランスの水で作る「地蕎麦」という考えへの理解も、とても深いものでした。

    何より驚いたのは、手作りに対する敬意と尊敬です。

    手作りなのだから、毎回同じにならなくてもいい。
    新しいことに取り組めば、失敗することもある。
    結果として失敗しても、それは問題ではない。

    完成したものだけでなく、作る人の手、時間、考え、チャレンジまで大切にしてくれる。

    その自然な考え方に、フランスの文化の成熟と、人々の心の豊かさを感じました。

    このワークショップは、私が蕎麦を教えるだけの時間ではありませんでした。

    私の方が、手作りの価値と、新しいことに取り組む勇気を教えていただきました。

    しかし、二回のワークショップを終えても、どうしても湯ごねには納得がいきませんでした。

    蕎麦粉の中へ、水が素直に入っていかない感覚。
    水が全体へ回る前に、粉がダマになってしまう感覚。

    もちろん、私がもっと湯ごねに慣れ、技術を高めればよいのかもしれません。

    それでも、温かい水で蕎麦をつなぐという感覚が、どうも僕には合いませんでした。

    僕は、キンキンに冷たい水でつなげたい。

    フランスの蕎麦粉を、フランスの水で、十割蕎麦にしたい。

    熱の力に頼らず、自分が納得できる方法で打ちたい。

    その思いが、次の方法を探す始まりになりました。

    次は、もう一度やり直す。
    またフランスでチャレンジする。

    フランスの皆様、ROBATOの皆様、本当にありがとうございました。

    物語は、2025年へ続きます。

  • 豆腐百珍、その百一珍目。高のの「豆腐の蕎麦粉変わり天」

    豆腐百珍、その百一珍目。高のの「豆腐の蕎麦粉変わり天」

    江戸時代、豆腐だけで百種類の料理を記した『豆腐百珍』という本が生まれました。

    その本には、日常の料理から、佳品、奇品、妙品、そして絶品まで、豆腐をどう料理し、どう味わうかという知恵と遊び心が詰まっています。

    僕が「養生料理」という言葉をいただいたのは、櫻井さんからです。

    そして、亡くなる前に、こんな言葉を残してくれました。

    > 豆腐百珍の、百一品目を作れ。

    その言葉が、ずっと僕の中に残っていました。

    今日、ようやく思いつきました。

    高のの百一珍

    豆腐の表面に、殻ごと挽いた挽きぐるみの蕎麦粉だけをまぶして揚げる、変わり天。

    厚い衣で包むのではありません。

    豆腐の表面へ蕎麦粉をまとわせ、香ばしく揚げます。そこへ、大豆のすり身「呉汁」を添えます。

    豆腐も大豆。呉汁も大豆。そして衣は蕎麦。

    豆腐、大豆、蕎麦という三つの素材が、蕎麦屋という器の中で一つにつながりました。

    簡単な調理を、意味のある料理へ

    作業だけを見れば、難しい料理ではありません。

    豆腐の水を切る。蕎麦粉をまぶす。揚げる。呉汁を添える。

    けれど、料理は手数の多さだけで決まるものではないと思っています。

    素材の役目を考え、組み合わせの理をはかり、一皿に意味を持たせる。それが「調理」から「料理」へ変わる瞬間です。

    豆腐には豆腐の役目がある。

    蕎麦粉には蕎麦粉の役目がある。

    大豆のすり身には、つゆに自然な旨みと満足感を加える役目がある。

    それぞれの役目をつなぐことで、高のの百一珍になりました。

    蕎麦屋だから、天そばへつながる

    この一品は、単独の豆腐料理で終わりません。

    粗挽き十割手打ち蕎麦へ添えれば、高のにしかない天そばになります。

    蕎麦屋という器があるから、江戸時代の豆腐料理の遊び心を、今の一膳へ自然につなぐことができます。

    『豆腐百珍』正編の百品を確認した範囲では、豆腐の表面に蕎麦粉だけをまぶして揚げ、呉汁を添える同じ組み合わせは見当たりませんでした。

    昔の百品を再現するのではなく、その精神を受け取り、現在の蕎麦屋として次の一品を作る。

    だから僕は、これをこう呼びます。

    > **豆腐百珍、その百一珍目。** 
    > **高のの豆腐蕎麦粉変わり天。**

    自然な食事を求める方へ

    衣には小麦粉を使わず、蕎麦粉だけを使います。

    ただし、高のでは同じ厨房で小麦を扱っています。また、通常のつゆや出汁には鰹節を使用します。そのため、厳格なグルテンフリー、完全なヴィーガン料理として断言するものではありません。

    自然な素材を大切にする方、ナチュラリストの方、食事に考えを持つ方にも、内容をご理解いただいたうえで味わっていただけたら嬉しいです。気になることがあれば、ご注文前に一言お声かけください。

    櫻井さんからいただいた「養生料理」という言葉。

    そして、「百一品目を作れ」という宿題。

    ようやく一つ、形になりました。

    亀戸 養生料理 高の
    高野定義

  • ナチュラリストの方へ|一年を通して大豆のすり身「呉」を料理する高の

    ナチュラリストの方へ|一年を通して大豆のすり身「呉」を料理する高の

    高のは、一年を通して大豆のすり身「呉」を料理する蕎麦屋です。

    夏は枝豆。秋は収穫されたばかりの生大豆。そして一年を通して大豆をすり、つゆや料理に使います。

    大豆を使う理由は、健康という言葉だけではありません。

    大豆をすりつぶすと、豆の濃さ、とろみ、香りが生まれます。つゆに自然な厚みが加わり、肉や油の強さだけに頼らなくても、一杯の料理としての満足感を作ることができます。

    夏は、枝豆のすり身「枝豆の呉」

    夏の「まめつゆ」には、旬の枝豆を使います。

    枝豆を細かくすりつぶし、蕎麦つゆと和風出汁でのばします。枝豆の甘味、とろみ、青い香りが手打ちの小麦麺に絡みます。

    国産小麦100%、加水率55%。水回し、踏み、延し、切りまで、機械を使わず手で作る麺です。

    かん水を使うため麺の形はラーメン。しかし、蕎麦屋の道具で打ち、蕎麦つゆと和風出汁で食べる日本料理として、高のでは「小麦蕎麦」と呼んでいます。

    黒胡麻蕎麦にも、大豆のすり身

    普段の高のでお出しする「黒胡麻蕎麦」にも、大豆のすり身を使います。

    大豆の旨みに、黒胡麻の甘味を重ね、鰹、昆布、干椎茸の和風出汁でのばす。粗挽き十割手打ち蕎麦を受け止める、濃く、やさしいつゆになります。

    夏の枝豆の呉から、秋の生大豆、そして一年を通した大豆の呉汁へ。

    小麦蕎麦と黒胡麻蕎麦は、どちらも大豆のすり身でつながっています。

    自然を大切にする方へ、正直に

    高のは、ヴィーガン専門店ではありません。

    つゆには鰹節を使用しています。鹿、猪、熊、鴨、鯨などの料理も扱います。そのことをご理解いただいたうえで、旬の素材を大切にし、食材を無駄なく料理する考えに共感してくださるナチュラリストの方に来ていただければ嬉しく思います。

    植物か、動物か。そのどちらかだけを強く押し出すのではなく、一つ一つの素材に敬意を持ち、料理につなぎ、自然の旨みを残す。それが高のの養生料理です。

    黒胡麻の甘味。大豆の旨み。枝豆の香り。手打ち麺の食感。

    自然の素材を重ね、一膳の満足を作ります。

    肉味噌やジビエ料理は、その場で調理いたします。ご希望の方は、一言お声かけくださいませ。

    火曜日は「小麦蕎麦」

    夏の枝豆まめつゆは、9月末までの予定です。

    毎週火曜日、13時まで。20食限定。

    普段は、黒胡麻蕎麦、粗挽き十割手打ち蕎麦、炭炙り、ジビエと鍋蕎麦をお楽しみください。

    亀戸養生料理 鍋蕎麦屋 高の
    東京・亀戸

    Handmade noodles with mashed soybeans and edamame.
    The natural sweetness of black sesame and the umami of soybeans create a rich and satisfying Japanese dish.
    Please note: our traditional dashi contains bonito, so our dishes are not vegan.

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